楮(こうぞ)紙という和紙をちぎるとヒゲが現れます。
ヒゲの一本一本が楮の強靭な植物繊維が絡み合っているので、とても丈夫です。
繊維の中はストロー状になっていて、その空洞に空気層があり、湿気を含んだり
吐いたりする機能や保温効果、音を吸収する効果などがあります。
和紙は丈夫なだけでなく、多機能な昔のスーパーハイテク素材
一枚の和紙だけでも素晴らしい機能を持っていますが、
さらに倍の効果をもたせるために、浮け張りを二重にしています。
さて、二重の楮紙のクッションの上に、いよいよ仕上げの紙を。
蘇芳(すおう)という草木染めの楮和紙を全面に糊をつけ張っていきま
す。
紙の大きさが決まっているためどこかに継ぎ目が入ります。
同じ継ぎ目が入るなら、デザインに取り込んでしまおうと石垣を積んだように継
ぎ目を互い違いに張っていく「石垣張り」という技法です。
蘇芳はなんとも言えない優しいピンク色に染まります。
ピンクといっても天然染料の日本古来の「ピンク」は刺激のない、穏やかな、心
和む色合いです。
看護士さんの衣装が薄ピンクなのも頷けますね。
壁を装う、「壁装」
和紙を張ったお部屋の完成です。