BLOG/受け継ぐ

江戸時代の国学者で歌人の

賀茂真淵(かものまぶち)の和歌です。

長年の巻きぐせによりシワがより、ひどく折れています。

折れのひどいところは本紙の表面が欠落して、

裏打ちの紙が白く見えます。

古い裂地を外して、書の裏側に幾重にも張られた和紙をめくりながら

この掛軸を仕立てた江戸時代の大先輩の表具師さんに

思いをめぐらせます。

そして、シワや折れを補修し、また新たに和紙を張り重ね

新しい絹を着せて

また何年も長持ちするよう掛軸に仕立て直します。

後の世に、この掛軸を修理するだろう後輩表具師さんは

どんな表具師さんだろうと思いをめぐらせながら。

形や寸法は以前と同じに仕立て、時代感を出すためにくすんだ 金襴と、

こげ茶の絓絹で取り合わせました。

表具師さんは、

僕がどんな表具師だったのかと想像してくれるかな。

BLOG/表具教室 横被 2

BLOG/書×タイシルク×屏風

関連記事

  1. BLOG / ひび割れた大地

    長年お座敷を見守ってきた絵。画家だった曾祖父さまが描かれた…

  2. BLOG/タイムカプセル 襖の下張

    なになに?「明治6年5月6日午前1時過ぎに皇居が炎上し、聖…

  3. BLOG/いまどこ for 神棚

    天平雲の透かしがある vertical type の petir床の間 い…

  4. BLOG/自信と責任と誇り

    屏風の修復をご依頼いただきました。縁を外すと明治25年4月23日と…

  5. BLOG/いまどこ 卯月

    季節を飾るプチ床の間 いまどこ。卯月は上賀茂神社の八重桜をバックに…

  6. BLOG/いまどこ 葉月

    季節をかざるpetit床の間 いまどこ葉月は、かずみさんの…

  7. BLOG/タイムカプセル

    日本古来の和釘。墨で書かれた印。使…

  8. BLOG/◯△□

    「◯△□」は天保時代の仙厓(せんがい)禅師の書。一説には森…

PAGE TOP